眼球運動検出に強膜反射方式を用いた例
 ノートパソコン、ペンタッチディスプレイを用いて、ペンタッチディスプレイ上に患者に模写させる図形を表示します。ペンを用いて患者が模写していくと、左のノートパソコンのディスプレイ上に模写中のペンの軌跡と視線の動きが表示されます。
 これまで、この様な検査では、紙の上で模写図形を表示し、患者にはその紙の上に直接模写していました。この装置を用いると、紙が不要となり、模写軌跡と眼球運動のデータを直接ノートパソコン内に記録できます。
眼球運動検出に角膜反射方式を用いた例
 強膜反射方式では、患者さんは眼球運動検出センサのついたゴーグルを着用してもらう必要があります。角膜反射方式とプロンプターを組み合わせることにより、患者さんが何も装着しなくても、模写軌跡と眼球運動を測定することができます。

*プロンプター:下方の液晶テレビの表示画像をハーフミラーで反射することにより正面から見えるようにします。同時に観察者の表情や目の動きはハーフミラーの背後からカメラで撮影できます。

参考文献:高栖裕哉、山田光穗:図形模写時の視線と模写軌跡を測定する新しい装置の提案、映像情報メディア学会2004年次大会 8−6
・鳥居弘樹、塩田陽一郎、高栖裕哉、山田光穗:プロンプターを用いた書画入力装置の提案、映像情報メディア学会2005冬季大会 9−8
・塩田陽一郎、鳥居弘樹、菅原将文、山田光穗:新しい眼球運動測定装置の提案、映像情報メディア学会2005冬季大会 9−9
・塩田陽一郎、鳥居弘樹、山田光穗:眼球運動と図形模写時の軌跡を同時測定できる新しい装置の開発、ヒューマンインタフェースシンポジウム2006,2331

惠良悠一、坂本篤史、鳥居弘樹、萩原秀樹、山田光穗:可搬型眼球運動測定装置の開発、ヒューマンインタフェースシンポジウム2008、1509

眼球運動による認知症、神経症診断の研究

 初期の認知症診断や脳梗塞などによる半側空間無視1の診察の際、紙に描かれた簡単な図形を患者に見せて、図の横に模写させる検査が行われています。「目の動きを同時に測ることにより、視覚に関する患者の症状を得ることができれば、より詳細な検査ができる」との医学的報告2もなされています。このような目的で開発した装置について紹介します。認知症の診断だけで無く、患者さんのリハビリにも役立てられると期待しています。

1:脳の片方の半球が障害を受け、対応する反対側の視野が欠損したり、手や足が麻痺したりする症状
※2:藤井 充 他:Alzheimer病の神経心理学的研究、精神経誌91巻10号、760-769,(1989)

診断装置の紹介