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実際の視線の動きは眼球運動と、体の動きを含めた頭部運動との合成により実現されています。空間的に離れた視対象を見るときには、頭部運動が優勢になることが多く、個人差はありますが、30゚離れた視標を見る場合、視線移動の約60%は頭部運動によって実現されます1)。頭部運動と眼球運動は、前庭動眼反射(VOR,
Vestibulo-Ocular reflex)により密接に結合しています。VORは三半規管の働きにより身体に加わる角速度や加速度を検出し、身体の動きに伴って生じる頭部運動を眼球運動に補償させ、空間上の視線を安定に保持しています。
また、最近では電子書籍やタブレット端末を手で持って、読書したり操作するのが当たり前になってきています。たとえば、下の方を読むときには、頭部を下げる、眼球を下に動かすだけで無く、手を上に上げることによっても見やすくできます。このように眼球運動、頭部運動、手の動きは密接に関連しています。そこで、この3つの動きを視線の動きに統合できる測定装置の開発を進めています2)。
1)山田光穗:2次元平面上の視標を注視させたときの頭部運動と眼球運動の協調関係の分析、信学会誌,Vol.J75-D-U,5,971-981(1992)
2)Hideaki Takahira, Kei Kikuchi, Mitsuho Yamada:A System for Measuring
Gaze Movement and Hand Movement Simultaneously for Hand-Held Devices,IEICE Trans. Commun. E98.B(1), 51-61, 2015
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