左下の図の実線は調節の測定結果、破線はレールの位置を示しています。視標の動きに追従して反応していることがわかります。調節は対象に正確に焦点を合わせる反応ではなく、ある程度ずれがあり、個人差も存在します。充分な照度があるときには、調節は対象物よりも約0.4D遠方に合わせているということも報告されています。右下の図は輻輳の測定結果です。輻輳角を基準にした視距離60cm の位置で値が0 となり、それよりも奥に視線を合わせると負値を、手前に視線を合わせると正値で表しています。輻輳変化量は視標の移動に対してかなり忠実に応答していることがわかります
この実験の結果から、調節変化量は、媒体、フォントの種類、フォントの大きさによって違いがあることが示され、文字の読みやすさなどを評価するパラメータになることが示唆されました。
他方、輻輳変化量は,視標の奥行方向の動きに対してかなり正確に追従する傾向を示し、フォントの種類、フォントの大きさによる一定の傾向は見られませんでした.
水晶体のピント調節と輻輳眼球運動は調節測定装置と眼球運動測定装置を組み合わせて測定します。この装置の前に、奥行き方向に直線的に移動できるリニアステージを置き、表示媒体を固定します。表示媒体には再生紙,電子ペーパー(KOBO
mini,5 インチ)、LCD(iPod,4 インチ)、有機EL(PS Vita,5 インチ) を使用しました。フォントはArialとTimes
New Romanを使用しました。
奥行き移動する視標に対する輻輳と調節応答の解析
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2016年2月2日 |
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