道路標識の抽出による運転支援装置の開発

高齢化社会を迎え、高齢ドライバーの増加は、社会問題になっています。普通免許は、両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上あれば取得できます。しかし、夕方や夜間、雨天時など、十分な明るさが得られないときには、交通標識がよく見えず、危険に感じることが多いと思います。ドライバーの中には、免許の条件ぎりぎりの視力の人から、視力2.0の人まで広く含まれ、彼らの間で運転時の視認性が大きく異なっていることが予想されます。最近では、カーナビが普及し、行き先表示など代表的な交通標識はカーナビから情報を得ることができますが、安全運転の基本は、やはり自分の目で確かめることです。
 私たちは、交通標識を画像処理して、分かりやすく表示することにより、誰もが視力2.0以上の視認性を獲得して、安全で快適なドライブが行えるような運転支援システムの検討を行っています。

研究の目的
視力と見え方のシミュレーション

参考文献
坂本篤史、山田光穗:道路標識の抽出による運転支援装置の考察、2005映像情報メディア学会冬季大会 9−4

坂本篤史、山田光穗:道路標識の抽出による運転支援システムの開発ヒューマンインタフェースシンポジウム2006,2510
惠良悠一、坂本篤史、萩原秀樹、山田光穗:運転支援システムでの見やすい交通標識の提示法の検討、ヒューマンインタフェースシンポジウム2008、2114

高速道路にある標識の「方面及び距離」の1文字の大きさは40cmあります。
 視力
1.0の人は、視力検査に使われるランドルト環の切れ目の大きさがちょうど1分のときに、切れ目の方向を判断することができます。実際に文字の場合、全体の形や前後の関係、特に交通標識の場合は、現場の予備知識によって視認性が変化します。
 右図は、視力の条件だけを用いて、仮想的に視力
4.0の人、2.01.00.7の人について、標識文字の視認距離と対応する時速100km/hでの走行距離と時間を示したものです。視力2.0の人は0.7の人に比べ3倍近い距離から標識の字を読むことができます。

実現イメージ

高解像のカメラで道路標識を撮影して、画像処理で切り出します。切り出した標識を見やすく画像処理して、HMD(ヘッドマウントディスプレイ、右図)やカーナビゲーションのディスプレイに表示します。