動画像に対する眼球運動の追従能力

 すれ違った電車に乗っている知り合いの顔が分かったり、スロットマシンの数字が読みとれたり、動いている画像に対して、非常に高い認識能力を持つ人がいます。その中には、鍛えられたスポーツ選手も含まれます。高速に動いている視標を見ているときの眼球運動を測定し、その優れた能力を明らかにしようと考えています。
 その結果は、滑らかな動画を高精細に再現できる新たな動画像表示システムの評価や、視覚科学、スポーツ科学の分野で、役立つと考えています。

実験の方法

参考文献:
齊藤光睦、山田光穗:スポーツ選手の眼球運動特性の解析、映像情報メディア学会2004年次大会8-5
・M.Saito, M.Yamada:Development of eye-movement analysis equipment for clarifying the visual characteristics of moving images,The First International Workshop on Image Media Quality and its Application, Nagoya(2005),pp.135-140 
・齊藤光睦、山田光穗:動画像に対する視覚特性の解明を目指した眼球運動測定装置の開発、映像情報メディア学会2005年次大会、20-1

・齊藤光睦、小形祐紀、山田光穗:動画像の高忠実度再現を目指した移動視標に対する視覚の追随特性と認知特性の解明、第1回イメージメディアクオリティとその応用ワークショップ、2006.9.19-20、Kyoto,pp,32-37
・M.Saito, Y.Ogata, M.Yamada:Clarification of Eye Movement and Visibility Characteristics in relation to the Reproduction of Higher Fidelity Moving Images, The Second International Workshop on Image Media Quality and its Applications,Chiba(2007) 
・Y.Ogata, M.Saito, A.Sakamoto, M.Yamada: Percpetion of the Digitally Deteriorated Image while Pursuing Speedily Moving Target, The Second International Workshop on Image Media Quality and its Applications,Chiba(2007)

高速移動視標に対する追従運動と視覚認知の基本特性
図の様にディスプレイに視標を表示し、ランダムな方向に、様々な速度で移動させます。被験者が追従を始めると、MTFパターン(縞模様のパターン、縞の細かさとその見え方で人間の視覚特性を測定できる)を変化させ、被験者にその変化を答えさせます。被験者の眼球運動の追従能力と正答率から動き画像に対する視覚特性を調べることができます。

・高速移動中のデジタル劣化画像の認知特性
画像をデジタル圧縮することにより、ブロックノイズやモスキートノイズなど、デジタル圧縮特有のノイズにより画質が劣化します。画像が高速に移動しているときにこの様な劣化がどの様に見えるのかについて、右図のように、高速移動中の画像を短時間劣化画像に変化させ、そのときの眼球運動の追従特性と認知特性を調べます。