一流選手とトレーニング中の視線の動きの比較法として、眼球運動測定装置を装着して実際に競技中の視線の動きを分析する[1],あるいは競技中の様子をビデオカメラで撮影して、実験室で眼球運動測定装置を装着して観察させる[2]といった手法が一般的に用いられています。この方式の問題点は競技中あるいは観察中の頭部運動が取得できないことです。もちろん、眼球運動測定装置は観察者に装着されているため、観察者の頭部運動とともに視野映像は移動し、視野映像と視線は常時一致します。しかし、そのときに頭部運動がどれだけ生じたかは知ることができません。また、視野映像そのものも頭部運動とともにめまぐるしく動き、実験後の解析が困難となります。そこで頭部運動と眼球運動を同時に測定できる装置を用いることにしました[3]。この装置を用いて実際にアスリートに装着して競技中の視線を測定するのが目標ですが,その効果を確かめるため、ここでは4Kウェアラブルカメラで撮影して、実験室でアスリートに観察させた結果を紹介します[4]。
参考文献)
(1)M.Yamada et al., A New Sight-line Displacements Analyser and Its Application
to TV Program Production SMPTE Journal, Vol.99, No.1 pp.16-26 1990
(2)夏原他,サッカーにおける戦術的判断を伴うパスの遂行を支える認知プロセス,体育学研究,J-Stage,2015/2/4
(3) H. Takahira, K. Kikuchi and M. Yamada:”A System for Measuring Gaze
Movement and Hand Movement Simultaneously for Hand-Held Devices”, E98-B,
1, pp.51-61 2015
(4)猿樂拓也、北濱幹士、山田光穗:眼球運動測定装置を用いたスポーツ選手のスキル分析、ヒューマンインタフェース学会論文誌、2021年23巻1号、pp.29-42 https://doi.org/10.11184/his.23.1_29


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