左は視野カメラの映像に眼球運動を重ねたもの。
右は外部カメラの映像上に視線(頭部運動+眼球運動)を重ねたもの

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プレイヤーに眼球運動測定装置と頭部運動測定装置を装着し、コンピューターで視線の動きに換算します。
プレイヤーの視野に相当する映像を外部カメラで撮影し、ビデオスイッチャーを用いて、この視野映像に視線の動きを重ね合わせます。
 上図は頭部運動を検出する場合と眼球運動のみ検出する場合に分けて実験を行った結果です。
 左図は実際の実験風景を眼球運動センサについている視野カメラで撮影して、眼球運動のみ測定した例
 右図はキャッチャー後方に設置した固定カメラで撮影して眼球運動と頭部運動を測定した例
 左の例は眼球運動測定装置の視野カメラの映像に視線を重畳しており、被験者が頭部を移動させると視野画像も頭部に合わせて移動する。
 これに対して、右の図では、眼球運動に加えて頭部運動も測定しているため、被験者後方に設置した固定カメラの映像上に視線の動きを重畳表示できるので、被験者の頭部運動に合わせて視野画像は移動しません。そのため、実験後に視線に占める頭部運動と眼球運動の関係を容易に分析することができます。

本研究を実施するに当たり,試合中の動画撮影を快諾していただいた本学軟式野球チームHigh ringsに深謝します.

新たなスポーツ中の視線分析法の提案

本文へジャンプ 2016年2月2日 

 一流選手とトレーニング中の視線の動きの比較法として、眼球運動測定装置を装着して実際に競技中の視線の動きを分析する[1],あるいは競技中の様子をビデオカメラで撮影して、実験室で眼球運動測定装置を装着して観察させる[2]といった手法が一般的に用いられています。この方式の問題点は競技中あるいは観察中の頭部運動が取得できないことです。もちろん、眼球運動測定装置は観察者に装着されているため、観察者の頭部運動とともに視野映像は移動し、視野映像と視線は常時一致します。しかし、そのときに頭部運動がどれだけ生じたかは知ることができません。また、視野映像そのものも頭部運動とともにめまぐるしく動き、実験後の解析が困難となります。そこで頭部運動と眼球運動を同時に測定できる装置を用いることにしました[3]。この装置を用いて実際にアスリートに装着して競技中の視線を測定するのが目標ですが,その効果を確かめるため、ここでは4Kウェアラブルカメラで撮影して、実験室でアスリートに観察させた結果を紹介します[4]。

参考文献)
(1)M.Yamada et al., A New Sight-line Displacements Analyser and Its Application to TV Program Production SMPTE Journal,  Vol.99, No.1 pp.16-26 1990
(2)夏原他,サッカーにおける戦術的判断を伴うパスの遂行を支える認知プロセス,体育学研究,J-Stage,2015/2/4
(3) H. Takahira, K. Kikuchi and M. Yamada:”A System for Measuring Gaze Movement and Hand Movement Simultaneously for Hand-Held Devices”, E98-B, 1, pp.51-61 2015
(4)猿樂拓也、北濱幹士、山田光穗:眼球運動測定装置を用いたスポーツ選手のスキル分析
、ヒューマンインタフェース学会論文誌、2021年23巻1号、pp.29-42 https://doi.org/10.11184/his.23.1_29


    






 
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