眼球運動の特徴
 目は心の窓と古くからいわれています。目の動きを測ることにより、興味の対象や、脳の中の視覚情報処理の仕組みを調べることができます。
 また、素人の玄人の目の動きには、上達のコツが隠されているかもしれません。
 ヒトの心の仕組みを理解するだけでなく、ヒューマンインタフェースやスポーツ科学など様々な分野に応用できます。

眼球運動の種類
 眼球運動は両眼が相関して動く共同運動、輻輳開散眼球運動と、これらの運動の元となる、各眼ごとに生じる固視微動、随従眼球運動、跳躍眼球運動があります。
・両眼の運動
 共同運動:左右が同じ方向に動く運動
 輻輳開散運動:左右が互いに逆方向に動く運動、近くをみる時や遠くを見るときに生じる運動、立体テレビを見るときには欠かせない眼球運動
・各眼(単眼の運動)
 固視微動:注視時(一点をみているとき)に生じる、非常に小さな動き、視覚系にとってノイズと見なされることもあるが、網膜状の解像度を保ち、はっきり見るために欠かせない運動とも考えられている
 随従眼球運動:動いている対象を追従している時に生じる滑らかな眼の動き
 跳躍運動:サッカードとも呼ばれ、跳ぶような動き、本を読んでいるときなど、一般的に視点の移動に用いられる。

眼球運動の測定法
 さまざまな測定法があり、それぞれ一長一短がある。
EOG法:角膜部が網膜部に比べ10〜30μVの正の電位を有することを利用、目の回りに電極を貼り、生体アンプで増幅して測定する。外部の電磁ノイズに弱く精度はよくないが、検出範囲が広く、目を閉じても検出できる。
強膜反射法:目に弱い赤外光をあて、白目と黒目の反射率の違いにより目の動きを検出する。簡単で比較的安価に検出できる。外部光の影響に弱く、直接外部光が入らない状況で使用する方がよい精度が得られる。
角膜反射法:角膜上の赤外LEDの虚像が、角膜と眼球の回転中心の違いにより、眼球運動に伴って平行移動するのを赤外感度をもつビデオカメラで検出、角膜上の虚像をビデオカメラで確認でき、センサの装着が容易。時間的・空間的解像度はカメラの解像度とフレーム周波数に依存する。
瞳孔−角膜反射法:原理は角膜反射と同じ、瞳孔中心も同時に抽出、瞳孔中心を基準とするため、顔面からセンサが多少動いてもよい。
サーチコイル法:コイルを巻いたコンタクトレンズを装用、磁界の中で検出、極めて精度がよく、torsionと呼ばれる、眼球軸方向の回転も検出できる。特殊なコンタクトレンズを用いるため、装用時間を守る必要がある

眼球運動の測定例
 眼球運動は上にも述べたように様々な研究に活用できる。
 理想のコンロの高さ:は、台所のガスレンジの高さを確かめるための指標として使ったもの。(NHK番組、ためしてがってんの1シーン)
 運転中の視線:公道を運転中の視線。道路前方だけでなく、左右の状況やメータを確認している視線の動きがわかります。
 (*テレビ番組に協力した1シーンを教育・研究を目的として研究室紹介で引用しています)
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